そら豆って、ほっくりした食感と優しい甘みが魅力的な春の味覚ですよね。でも……調理していると、「ん?なんだか独特な匂いが漂ってきたぞ?」と感じたこと、ありませんか?
実はそのニオイ、決してあなたの鼻のせいではありません。ちゃんと理由があるんです。
本記事では、そら豆を茹でるときに感じる“あのニオイ”の正体や、なぜ茹でるとより強く感じられるのかをわかりやすく解説します。そして、キッチンが臭くならず、食卓でも気持ちよく味わえるよう、手軽にできる「臭みを和らげるコツ」もご紹介します。
そら豆を避けていた方も、これを読んだらきっと「ちょっと試してみようかな」と思えるはず。旬の味を楽しむためのヒント、ぜひ参考にしてくださいね。
そもそも、そら豆のニオイってどこから来るの?
そら豆のあの特有の香り、実は一つの成分が原因ではないんです。
そら豆には、実に50種類以上もの香り成分が含まれているとされており、それらが複雑に絡み合って“あのニオイ”を生み出しています。
中でも注目すべきなのが「n-ヘキサナール」。これは、青臭さの原因となる成分で、枝豆やきゅうりなどにも含まれているもの。そら豆がちょっと青っぽく感じるのは、この影響なんですね。
さらに、「インペンタノール」という揮発性の香り成分も含まれています。実はこれ、チーズやバナナ、いちごにも入っている“香りのアクセント”になる物質なんです。つまり、悪者というより「香りの個性派」といったところ。
こうした成分たちがタッグを組むことで、「そら豆=独特なニオイ」という印象が生まれてしまう、というわけなんですね。
茹でるとニオイが強まるのはなぜ?その科学的な理由とは
「そら豆は茹でるとさらにニオイがキツくなる気がする…」という声、よく聞きます。実はこれ、ちゃんとした理由があります。
そら豆に限らず、豆類にはたんぱく質が多く含まれています。そして加熱することでこのたんぱく質が変性し、香り成分が外に放出されやすくなるんですね。
さらに、茹でることで熱と一緒に水蒸気が上がり、その蒸気に香りが乗って部屋中に広がっていきます。だから、茹でている最中は特に匂いが強く感じられるんです。
「うわっ、くさい…」と感じるのも無理はありません。でも、そら豆のポテンシャルはそこにとどまりません。ちょっとした工夫で、匂いをかなり抑えることができるんですよ。
【匂いを抑えて美味しく!】そら豆をもっと楽しむためのちょっとした工夫、教えます
そら豆のほっくりとした味わいは春の風物詩。でも、あの独特の匂いがちょっと苦手…という方も少なくありませんよね。
「美味しいのは分かってるけど、どうもあのニオイが…」
そんな方に向けて、ここでは「そら豆の匂いをできるだけ抑えて、もっと気軽に味わう方法」をたっぷりご紹介します。
どれも難しい手間はありません。普段の調理にちょっとプラスするだけで、匂いが気にならなくなるテクニックばかりなので、ぜひ試してみてくださいね。
新鮮なそら豆を選ぶだけでも、匂いの出方は変わります
そら豆の匂いが強くなる大きな原因のひとつは「鮮度の低下」。そら豆は収穫から時間が経つと、含まれる成分が変化し、香りもどんどん強くなってしまうんです。
できるだけ新鮮なさや付きのそら豆を選び、買ったその日のうちに調理するのが理想的。実は、そら豆は「収穫後3日が勝負」とも言われているほど。畑から届いたそら豆なら、すぐに塩茹でするだけで、気になる匂いが驚くほど少ないんです。
匂いを抑える基本のテク:料理酒&塩を活用!
茹でるときにひと工夫。お湯に塩だけでなく、料理酒をほんの少し加えると、青臭さがぐっと和らぎます。
さらにおすすめなのが「薄皮をむいて食べる」こと。実は、そら豆のあのニオイの多くは、外側の薄皮に集中しているんです。中でも「おはぐろ」と呼ばれる黒っぽい部分は、さやと豆が繋がっていた跡で、特に匂いが出やすい場所。
◎ 茹でるときのコツ:
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熟した黒いおはぐろの豆から順に鍋に入れると、全体が均一に茹で上がりやすい。
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若いそら豆は、おはぐろが緑色で薄皮も柔らかく、匂いも控えめで食べやすい。
◎ 薄皮のむき方:
おはぐろの部分に爪でちょっと切れ込みを入れて、指でぷにっと押すだけで、つるんとむけてくれます。簡単ですよ!
香ばしさでマスキング!焼きそら豆のススメ
「茹でると匂いが立つのが嫌…」という方には、断然“焼きそら豆”がおすすめ!
魚焼きグリルやフライパン、オーブントースターで、さやごとこんがり焼くだけ。両面に軽く焦げ目がつくまで火を通すと、香ばしい香りが立ち上り、そら豆本来の風味も引き立ちます。
焼く前にさやの端を少しカットし、筋に沿って軽く開いておくと、火が通りやすくなりますよ。焼き上がったそら豆に塩をふって、そのままがぶりとどうぞ。
薄皮は、お好みで。むいても、そのままでも美味しいです。
カリカリの香ばしさがやみつきに!そら豆を揚げるという選択
匂いを抑えつつ、食感も楽しみたい方には「そら豆の揚げ物」がおすすめです。
市販のフライビーンズのように、皮ごとカリッと仕上げれば、香ばしさで匂いも気にならなくなります。
◎ 簡単な揚げそら豆レシピ:
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さやから出したそら豆の“おはぐろ”部分に切り込みを入れる。
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キッチンペーパーの上に並べ、電子レンジ(600W)で6〜8分加熱。
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180℃の油で揚げ、皮がパリッと茶色くなったらOK。
一度食べたら止まらない、クセになる味わいですよ!
他の料理と組み合わせて、匂いをごまかしちゃおう!
そら豆単体ではなく、他の食材と一緒に調理することで、匂いが目立ちにくくなります。
◎ 合わせると◎な料理例:
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パスタやシチューにプラス:彩りもきれいで、匂いも気にならず、春らしい一皿に。
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カレーやポタージュ:そら豆をつぶして加えれば、コクととろみが増して美味!
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かき揚げ:そら豆×小えびのコンビは相性抜群!天ぷらにすると匂いゼロで絶品です。
特に、シチューやスープに使う場合は、茹でたそら豆を冷凍してストックしておくのがおすすめ。食べるときに加えるだけで、手軽に春の味を楽しめます。
そら豆の匂いって…実は結構ユニークな表現で語られています
ちょっと面白い話ですが、そら豆の匂いって、こんなふうに例えられることがあるんです。
「足の裏みたい」
「古びた靴下のにおい」
「昔のトイレ」
「銭湯の脱衣所っぽい」
……なんて、なかなかユニークな表現ですよね(笑)。
また、地域によっては、そら豆のことを「ぺっぴり豆」と呼ぶこともあるんだとか。その由来は、「食べるとおならが出やすい」とか「匂いがオナラっぽい」なんて理由から。昔ながらの暮らしの知恵を感じますね。
失敗しない!美味しいそら豆の見分け方
せっかくなら、できるだけ美味しいそら豆を選びたいですよね。でも、店頭に並んだそら豆の中から「これだ!」と思えるものを見つけるのは、意外と難しいもの。そこで今回は、初心者でも簡単に見分けられる、美味しいそら豆の選び方をご紹介します!
まず注目したいのは、さやの色とツヤ。新鮮なそら豆のさやは、鮮やかな緑色でみずみずしく、表面にうっすら産毛が残っています。この産毛が残っているかどうかは、鮮度を見極める大きなポイントなんです。
さらに、さやのハリや膨らみ具合もチェックしましょう。中の豆がしっかり詰まっていて、輪郭がうっすら浮かび上がっているものは、ふっくらとしていて美味しい証拠。逆に、筋に茶色い変色があったり、しおれているものは避けたほうが無難です。
そしてもうひとつ、さや付きのものを選ぶのが絶対おすすめ!というのも、そら豆は収穫されたあと、どんどん味が落ちていく繊細な野菜。特にさやから出した瞬間から鮮度が急降下すると言われているんです。できるだけさや付きで購入して、帰ったら早めに調理するのが、そら豆を一番美味しく楽しむコツですよ♪
まとめ:そら豆はちょっとした工夫でグンと食べやすくなる!
そら豆って、「美味しいけど匂いがちょっと…」と敬遠されがちな存在。でも、その独特な香りは、実はそら豆に含まれる50種類以上の香り成分が重なり合って生まれる、とても繊細なものなんです。
中でも、薄皮に含まれる匂い成分が気になりやすいと言われており、これを軽減するには、茹でるときに料理酒と塩を加えるのが効果的。さらに、さやごと焼いたり、揚げることで、香ばしさが加わって匂いが気にならなくなるから不思議です。
また、そら豆は他の料理と組み合わせると、さらに食べやすさがアップ!
たとえば…
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ホワイトシチューに加えれば、豆の旨味が溶け込んでコクが深まるうえ、匂いも気になりません。
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そら豆と小えびのかき揚げは、そら豆が苦手な方にも大好評!プリッとした小えびとの相性が絶妙です。
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カレーやパスタにトッピングすれば、彩りもよく食卓が華やかになります♪
実際、そら豆が苦手だった方でも、「シチューに入れたそら豆は全然気づかなかったけど、すごく美味しかった!」なんて声もよく聞きます。
そら豆は、香りにクセがある分だけ、調理の工夫次第で“自分好み”の味に変化する、奥深い食材です。
「ちょっと苦手…」と思っていた方も、今回ご紹介した方法を参考に、ぜひ一度チャレンジしてみてください。食べ方の幅が広がれば、きっと「そら豆ってこんなに美味しかったんだ!」と新しい発見があるはず。
春の訪れを告げるそら豆、この季節にしか味わえない美味しさを、ぜひご家庭でも楽しんでくださいね♪

