たまに目にする大手スーパーやデパートの生わさびは、普段チューブタイプを使っている私たちにとって、どのように選べば良いのか迷うことがありますよね?
日常生活では便利なチューブわさびが役立ちますが、特別な機会には、例えばお正月などには、生わさびを使って料理を格上げしたいものです。
どのように選び、どのようにおろすか、さらには常温、冷蔵、冷凍といった方法でどのように保存するか、生わさびと加工わさびの違いも踏まえて、しっかりと解説していきます。
生わさびの選び方と識別ポイント
適切な生わさびの選び方には、茎が全体的に太く均一で、細かいしわがあり、色が鮮やかな緑で新鮮さを感じさせるものを選ぶことが大切です。
生わさびが鮮度を失うと、部分的に黒ずみや色の薄れが見られることがあるため、これらの変色に注意しながら選んでください。
手に取ったときに重さが感じられ、肉質が密であるわさびは、辛みと共に甘みも感じることができる高品質なわさびと言えます。
生わさびは年間を通じて市場に出回っていますが、辛味が最も強く感じられるのは、秋から冬にかけての冷たい季節です。
市場には沢わさび、畑わさび、西洋わさびといった種類がありますが、特にここで取り上げているのは沢わさびについてです。
生わさびの主要生産地は静岡県と長野県で、全国生産の約60%を占めています。厳しい栽培条件のために生産量が限られ、価格はやや高めに設定されています。
価格が高いものの、適切な選び方を知っておくことで、その価値を最大限に享受できます。
地元の道の駅では簡単に手に入りますが、他地域の方はインターネット通販を利用することで確実に手に入れることができます。
生わさびの正しいおろし方
生わさびの辛みと香りを完全に引き出すためには、まずは表面の皮をきれいに削り取り、清潔な状態で鮫肌おろしを使用することが大切です。
おろすときは、力を入れすぎずに、ゆったりと円を描くように優しくおろしてください。この方法で、生わさびの風味がしっかりと保たれます。
力を強く使うと、わさびのテクスチャーが荒くなり、なめらかさが損なわれますので、その点は特に注意が必要です。
鮫肌おろし器が手元にない場合は、普通のおろし器で優しくおろしたあと、包丁の背で軽く叩くことで香りをより引き出すことができます。
おろしやすくするためにおろし器の下にアルミホイルを敷く方法もありますが、わさびは金属反応を嫌うため、陶器やプラスチック製のおろし器の使用がおすすめです。おろしたわさびは速やかに陶器の皿へ移してください。
新鮮な辛みをすぐに楽しむのが好みであれば、おろした直後のわさびが最適です。しかし、香りと辛味が最も調和するのは、おろしてから30分が経過した後だと言われています。
わさびは、茎の部分が近いほどジューシーで香りが豊かであり、先端に近づくほど辛味が強くなります。そのため、辛味と香りのバランスを取りたい場合は、茎に近い部分を選んでおろすことをお勧めします。ただし、茎の端の部分は水分が多く、避けた方がよいでしょう。
生わさびの保存方法:常温、冷蔵、そして冷凍
生わさびは傷みやすいため、購入後すぐに使わない場合は、常温での保管は避け、冷蔵庫での保存が適切です。
通常、一度に使い切る量を購入することは少なく、2~3日以内に消費する予定の場合は、生わさびを湿ったキッチンペーパーで包み、その上から密封袋に入れて冷蔵すると、乾燥による劣化を防ぐことができます。
保存期間を延ばしたい場合は、生わさびを水を7分目まで入れたコップに立てて、毎日その水を新しいものに交換しながら冷蔵庫で保管する方法が有効です。
すでにおろしたわさびは冷蔵での保存が適していません。水を使用する保存方法を選ぶ場合は、使用する分だけをその都度おろすことが推奨されます。
冷凍保存する場合は、生わさびを丸ごとラップでしっかりと包み、ジップロックバッグに入れて冷凍庫に保管します。使用時には凍ったままおろすことで、その風味や辛みを保つことができます。
おろしたわさびをラップで薄く伸ばし、ジップロックバッグで冷凍する方法もありますが、長期間保存すると香りや辛みが低下するため、この方法は推奨されません。
生わさびは、フレッシュな状態での消費が最も理想的で、その美味しさを最大限に楽しむことができます。
生わさびと本わさびの違いについて
一般的に家庭でよく使用されるチューブ入りのわさびですが、スーパーでよく見る「生わさび」と「本わさび」のラベル、その意味を知っていますか?
「生わさび」とは本来、すりおろしたわさびのことを指します。1970年代にチューブ入りわさびが登場したときは、主に粉わさびが使われていましたが、1980年代の後半からは、生わさびを原料として使用するようになり、「生わさび」という表示が使われるようになりました。
対して「本わさび」という表示は、西洋わさびではなく、日本の沢わさびや畑わさびを指すことを強調するためのものです。「本わさび使用」とは製品に50%以上の日本産わさびが含まれていることを示し、「本わさび入り」とは50%未満であることを意味します。しかし、100%国産とは限らず、表示に「国産」と明記されていない限り、外国産のわさびが含まれている可能性があります。
チューブ入りの生わさびでは、しばしば西洋わさびが使われていますが、100%本わさびと記載されていても、加工品であるため必ずしも純粋なわさびだけが使われているわけではなく、添加物も含まれています。
フレッシュなわさびが簡単に手に入ると最適ですが、供給が限られている現実があります。これらの違いを把握しておくと、チューブ入りわさびの選び方に役立てることができます。
まとめ
生わさびは大型のスーパーや百貨店でもたまに販売されていますが、インターネットでの購入がもっとも確実な方法です。
購入する際は、茎の太さが均一で重みが感じられるもの、色鮮やかでしわが少ない生わさびを選ぶとよいでしょう。
生わさびをおろすときは、鮫肌おろし器を用いて軽くゆっくりとおろすことが香りと辛みを引き出す秘訣です。香りと辛味をバランス良く楽しみたいなら、茎の部分に近い箇所をおろすのがお勧めです。
生わさびは鮮度が命ですので、速やかに消費することが理想ですが、保存が必要な場合は水を7分目まで入れたコップに浸し、毎日水を交換しながら冷蔵で保管する方法があります。冷凍保存する際は、わさびをラップでしっかり包み、その上でジップロックバッグに入れて密封するのが効果的です。
チューブ入りのわさびとは異なり、生わさびはその独特の風味と香りが特徴です。手に入れることができれば、お刺身、蕎麦、パスタ、雑炊、ドレッシングなど、多岐にわたる料理でその特性を活かしてみてください。